後藤比奈夫氏より色紙をいただく。

fragie2006-02-13


 ふたたび、後藤比奈夫氏より色紙をいただいてしまった。
 私は後藤氏の書が大好きである。
 見ているとこちらの心までやさしくなってくるような、心の中にたくさんのわだかまりがあってとげとげしていても、その書かれた文字にふれるとあたたかな気持ちになってくるから不思議である。
 以前「素敵な書ですね」と思わず申し上げたら、色紙を何枚も書いてくださったのだ。
 少し前まで、玄関にかけてあったのが「鶴の来るために大空あけて待つ」。
 そうしていまは、「人の世をやさしと思ふ花菜漬」。いい句だなあ。

 
 今日いただいたのが、「ここに来て佇てば誰しも秋の人」。
 「確か秋の句がなかったですね」とおっしゃって書いて下さったのだ。
 私も秋の句がないかな、と思っていたのであるが、じ、じつはあった!!
 今日気づいたのだ。後藤先生、ごめんなさい。
 いただいていた秋の句
 「沙羅紅葉来世明るしとぞ思ふ」

 ふらんす堂の玄関には常に後藤氏の色紙が…。

 毎日来る宅急便のお兄さんがかつてこの色紙をじいっと見て、これなんと読むのですか?
って聞いたことがある。
 それは「花菜漬」の句。「人の世」の世がお習字をしている人でないとちょっと読めないような書体で、
「ああそれは世ってよむんです」と誰かが答えると「ああ!」と感じ入って帰っていったのだった。
 
                               (山岡喜美子・記)