薦田愛(こもだ・めぐみ)さん来社

 今日は中井愛が体調をくずして早退。渡邊真紀は用事がありやはり早退。
ほかのスタッフ達は休みの日にあたり、ふらんす堂は私以外に加藤泰子と松田聡子の二人のみというめずらしく静かな一日であった。
 いつも和気靄々としている仕事場がなんとも静かで、一匹の蝿が迷いこんで来てもきっとすぐ分かってしまうような、ひっそりとした空気。何だかちょっと居心地悪い。


 午後には前から約束の川口晴美さんが、詩人のお仲間で親しい友人でもある薦田愛さんと一緒に来社。

薦田愛さんはこの度、川口さんの紹介でふらんす堂より第3詩集を刊行される。
第一詩集『苧環論』で歴程新人賞を受賞されたというお力のある詩人である。今はある大手出版社で雑誌の編集の仕事をされて超多忙な日々の毎日らしい。学生時代から芝居を観つづけてきていて、忙しい時間のあいまをぬって今も精力的に芝居を観ているという。昼飯をともにしながら、彼女が語ってくれた歌舞伎についての批評など、面白くてもっともっと聞きたい、と思ったほど。
 
詩集についての打ち合わせを、静かなふらんす堂で3時間ほどする。
 私はこの時間が好きである。これからひとつの本ができあがるまでに、まず著者の思いを聞くこと。それから作品の声に耳を澄まし、自分がどういう本造りをしたいかということを秘かにイメージし、そうしてそれらを整理したものを装丁者に伝える、一冊が出来上がっていくまでのワクワクするような時間の流れ。

 
 今日手渡された、詩集の原稿がどういう形になっていくか。
 私も楽しみである。

           (山岡喜美子)