薦田愛(こもだ・めぐみ)さん来社

 今日は中井愛が体調をくずして早退。渡邊真紀は用事がありやはり早退。
ほかのスタッフ達は休みの日にあたり、ふらんす堂は私以外に加藤泰子と松田聡子の二人のみというめずらしく静かな一日であった。
 いつも和気靄々としている仕事場がなんとも静かで、一匹の蝿が迷いこんで来てもきっとすぐ分かってしまうような、ひっそりとした空気。何だかちょっと居心地悪い。


 午後には前から約束の川口晴美さんが、詩人のお仲間で親しい友人でもある薦田愛さんと一緒に来社。

薦田愛さんはこの度、川口さんの紹介でふらんす堂より第3詩集を刊行される。
第一詩集『苧環論』で歴程新人賞を受賞されたというお力のある詩人である。今はある大手出版社で雑誌の編集の仕事をされて超多忙な日々の毎日らしい。学生時代から芝居を観つづけてきていて、忙しい時間のあいまをぬって今も精力的に芝居を観ているという。昼飯をともにしながら、彼女が語ってくれた歌舞伎についての批評など、面白くてもっともっと聞きたい、と思ったほど。
 
詩集についての打ち合わせを、静かなふらんす堂で3時間ほどする。
 私はこの時間が好きである。これからひとつの本ができあがるまでに、まず著者の思いを聞くこと。それから作品の声に耳を澄まし、自分がどういう本造りをしたいかということを秘かにイメージし、そうしてそれらを整理したものを装丁者に伝える、一冊が出来上がっていくまでのワクワクするような時間の流れ。

 
 今日手渡された、詩集の原稿がどういう形になっていくか。
 私も楽しみである。

           (山岡喜美子)

「俳句」2月号にYAMATO登場

fragie2006-02-02

 角川書店発行の綜合誌「俳句」2月号の俳壇ニュースのところに私の愛猫YAMATOが載った。
 「おお、なんと可愛いことか!」とスタッフたちに見せてまわり、まわりの猫好きにこれから喜びのメールを送るつもり。編集長海野謙四郎さんのご好意による。
 海野夫人で、俳人櫂未知子さんと猫の写真を送り合って猫自慢をしていたところ、海野さんより「写真を送ってくれれば、すぐではないが、いずれ掲載します」と言われ、わが家のヤマト(♀)と日向子(♀)の写真をあれこれ吟味して、「本当はもっと可愛いのですが…」というコメントをつけて送ったところ、海野さんより「飼い主はいちように同じことを言います」と言われてしまった。
 そういうわけなので、掲載はずっと先になると思っていたのに、なんと2月号にちゃっかりヤマトが登場しているではないか。ウーン、可愛いなあ。
 

 ヤマトは黒白猫で靴下をはいている。いっぽう日向子は白猫でブルーの目額のところにひと刷毛グレーが

ある。こちらは超美人。どちらも、漫画家の大島弓子さんからいただいたもの。
 
 さっそくこの「俳句」2月号を大島さんにもお送りしよう。

 実はこのヤマト、大島さんの人気漫画『グーグーだって猫である 2』に登場しているのだ。そうしてはずかしながらこの私も。一コマのみであるが、およそ実像とはかけはなれた美人で。ヤマトをいただいたいきさつが描かれてある。


 「俳句」2月号190ページに登場。
 猫好きの方は書店にて是非ご高覧を。

(写真は日向子)

              (山岡喜美子)

『うらしろ』の装丁

fragie2006-01-31


 江村晴子さんという20代の新鋭詩人の句集を間もなく刊行する予定。
 その装丁を北見俊一さんにはじめてお願いする。
 

 詩人有働薫さんの詩集『ジャンヌの涙』の装丁、造本をてがけた方である。
 『ジャンヌの涙』をいただいた時、その造本の美しさに胸を打たれた。こんな本造りをされる方がまだおられるということに感動した。私がずっと心のなかであこがれていた、そんな本が美しい意匠をまとい目の前にあった。紙の温もり、活字の美しさ、贅沢で上品な箔押し、人間の手が丹念につくりだしたものである。この本を作っている人の手の動きがあざやかに見えるようなしつらえの本。ヨーロッパの中世の香りがするような書物…。
 
 
 この度江村晴子さんの詩集の装丁を北見俊一さんにお願い出来た。昨日装丁が出来上がってきたのであるが、やはり思い切ってお願いして良かったと心から思った。北見さんはご自身で製本もなさるという本造りに徹した方なのであるが、今回は諸事情により装丁のみをお願いした。
 
 数週間後には『うらしろ』が出来上がってくる予定。
 なんだかとても楽しみ。


 俳人の満田春日さんより俳誌「はるもにあ」をいただく。
 この度創刊されたのである。
 春の到来を感じさせるようなグリーンの色が眩しい俳誌だ。
 すみずみまで神経がいきわたっていて、満田さんの「はるもにあ」にかける志がにわかに伝わってくる一誌である。                                   (山岡喜美子)

高田正子句集『花実』を大型書店に配本します

fragie2006-01-30


第29回俳句協会新人賞受賞した高田正子句集『花実』を
大型書店を中心に配本いたします。
今月終わりに書店に向けて発送いたしますので、
店頭に並ぶのは2月の始めごろになるかと思います。
実際にお手にとっていただけるチャンスです。
取扱書店の詳細は、いつでもお問い合わせください。(加藤泰子)

詩のサイトの新しい試み

 昨日は高田正子さんの俳人協会新人賞の嬉しい知らせを貰ったあと、前から約束をしていた詩人の方たちと遅い新年会をする。
 北爪満喜さん、杉本徹さん、手塚敦史さん、杉本真維子さん、キキダダマママキキさんと私の6人である。
 北爪満喜さんは、昨年ふらんす堂から『青い影 緑の光』という詩集を刊行された実力ある詩人である。実は私はこの北爪さんに触発されてデジカメで写真を撮るようになったのである。本作りのために来社された時に、詩集に入れる写真の作品を持ってこられ、その作品の面白さに引かれたのである。北爪さんはいつもデジカメを持っていて、それは彼女の日常の生活の中につねにあり、というよりも身体の一部となって彼女のもう一つの目となっているということだった、家でくつろいでいる時もカメラはその傍らにある。写された日常はそのカメラを通して日常の顔を剥ぎ取られ、違った光と影を持ったものへと変貌している。そのへんが面白い。
 わたしが特に興味を持ったのは、つねにカメラを傍らにおいていて少しでも面白いものがあれば撮るということ、そのフットワークの良さである。
 とても彼女のような作品に仕上げることはできないが、月並みではあるが日々出会う季節の顔を少しでも写真に撮って楽しめたらと思っている。
 北爪満喜さんの作品に興味のある方は是非詩集『青い影 緑の光』を買って読んでいただきたい。


 さて、昨夜の飲み会メンバーは主に今日からスタートした「詩のサイト」に参加する詩人たちである。杉本徹さんのような力のある詩人も加わり、20代の詩人たちを中心に展開していく「詩のリレー」。
 楽しく刺激的なものになれば、と思う。(山岡喜美子)

高田正子句集『花実』第29回俳人協会新人賞に決定

 こんな良い天気の土曜日というのに、相も変わらず仕事。
 夕方近く、電話がなる。なつかしい声だ。
 高田正子さん!
 昨年の6月に句集『花実』を刊行された方である。
 

 電話の内容は『花実』が今年度の俳人協会賞新人賞に決定したということ。
 嬉しい!! 良かった!!
 優れた句集であると思っていたが、賞というものはジャンヌ・モロウのほほえみように気まぐれで分からないところがあるので、どうかしらと思っていたのであるが、ともかくも嬉しい。
 高田さんはいつもと変らずサラリとして、冷静で素敵である。
 私の方が、なんだかえらくはしゃいでしまう。
  
 
 高田正子さんという俳人は、賞をとってもとらなくても、ご自身のありようを大切に俳句をつくりつづけていける方である。
 そういう方の受賞であるから、ことさらに嬉しい。 (山岡喜美子)

ふらんす堂通信107号発送

fragie2006-01-25


それにしても毎日本当に寒い。
歩いて仕事場へ行こうと思い玄関を出るや、いや自転車でと鍵をとりだし、よこにある車に目がいくと、何だかいつの間に車に乗って仕事場をめざしていたという、ふがいないことである。
この寒さは私のちっぽけな気合いなど、いとも簡単に吹き飛ばしてしまう。
今日は支払日ということもあって、午前中は銀行から銀行へと仙川の街を忙しく歩きまわる。
仕事場に戻ればもうお昼。


ふらんす堂通信107」が出来上がって寒い北風のなかを到着。
さっそく発送にとりかかる。
川口律子、加藤泰子が腕まくりして、頑張っている。
「寒い」などという言葉は禁句。
「ご苦労様」と言って神妙に作業のかたわらを通りすぎるのみ。


3時のおやつは、昨日ご来社下さった俳人のきちせあやさん、横山悠子さんからのおみやげの美味しいクッキー。渡邊真紀が淹れてくれたプーアル茶ジャスミン茶のブレンド茶を皆で美味しく飲みながら一息つく。ふらんす堂の今のはやりはどうやら時代小説らしい。中井愛と加藤の間ではもっぱらその話し。
中井のおすすめは池波正太郎藤沢周平など、加藤は平岩弓枝をこれから買い続けるべきかどうか、中井に相談。「ウーン、微妙」というのが中井の答え。私は藤沢周平を少し読むくらいで時代小説はあまり読まない。時代小説の範疇ではないと思うが、司馬遼太郎は大好きである。もっともこれは、中井も加藤も同じ意見らしい。

                                    (山岡喜美子・記)